2011年 09月 21日
フィレンツェまで行くなら、ぜひ訪ねてみたい街があった。
シエーナ。かつてフィレンツェとトスカーナの覇権を争った古都だ。
国鉄の鈍行でフィレンツェから1時間半。
市街地の真新しい駅を出て、世界遺産に登録されている旧市街へ路線バスで向かった。
城壁に囲まれた旧市街があるのは、田園風景の中の、丘の上。
4~5階建ての古い屋並みに挟まれた石畳の通りや路地が巡っていて、
その中心に「世界一美しい広場」と称賛される広大な「カンポ広場」がある。
ホタテ貝を思わせる扇形で、曲線部分から中心に向かって緩やかな下り坂。
地元の人や観光客が座り込んで、横になって過ごしている。
寛ぐのは人間だけではなく、噴水ではハトがかわるがわる、上手に水を飲んでいた。

カンポ広場の楽しみ方。これはもう寝そべるに限る。
欧州の街には必ず広場があるが、寝そべってもいい雰囲気なのは、
まだこことパリのポンピトゥー・センター前しか見たことがない。
そういえば両方の広場とも、緩やかな傾斜が付けられているのは共通している。
強烈な日差しに目も開けられないまま、他の観光客に混じって焼けた石畳を覆った。

シエーナにも、もちろんドゥオモがある。
中世の高層建築が最小限の道幅で向きあう、
まるで峡谷のような旧市街の路地を抜けると、急に視界が開け、広大な広場に出る。
ドゥオモはそこに鎮座している。このダイナミズムは、フィレンツェの街と同じ演出だ。
白と深い緑の大理石を、レゴブロックのように交互に積み上げたボーダー柄の外観。
その巨大さ、壮麗さはフィレンツェにもひけをとらず、
怖いくらいに晴れた青空を背景にそそり立つ様子は、一瞬怯むほどの存在感だ。

このボーダー柄のデザイン、実はむしろ内部の方が徹底されている。
だから外観に圧倒されてから中に入ると、それ以上の驚きが待っている。
何かとフィレンツェと比較してしまうのだが、観光客ふぜいの視点で
フィレンツェにひけを取らないと思ったのを、撤回しなければならない。
たしかフィレンツェのドゥオモの内装は、外観ほど華やかではなかったはずだ。
街の象徴たる建築物だけに、そこに美意識の違いを見るようで面白い。

もうひとつ、シエーナの半日観光でやっておかなければいけないこと。
カンポ広場ぞいに建つ「マンジャの塔」に登り、街全体を見渡すことだ。
この塔、高さ102m。あれだけ大きなドゥオモをも凌ぐ、中世の超高層ビルだ。
安全のため、一度に登れる人数と頂上に滞在できる時間がきっちり決められている。
しばらく登り口の行列に並び、レンガの隙間から風が吹き込むスリルを味わいながら登り、
シエーナの街、そしてトスカーナの田園地帯の美しい風景を手に入れた。

同じ中世の佇まいでも、街の趣は、目の覚めるような華やかさのフィレンツェとは異なり、
トスカーナの大地を思わせるような、落ち着いた色調に統一されている。
覇を競ったふたつの「国」の景色がかくも好対照なのは、本当に興味深い。
しかしこの旧市街にも、これまでに訪ねてきた他の街々と同じように、
建国のアニバーサリーを祝う三色の国旗が、これでもかとばかりにはためいていた。
今は街でもかつては都市国家だったのだから、互いの景観が似ていないのは自然だ。
そして統一から150年と、知ってみればイタリアという国はまだ新しい。
でも各地域の人々が気持ちを同じくし、
ひとつの旗の下に母国を讃える様子は、見ていてとても清々しい。
街ごと、見える景色は様々。でも旗の色はどこでも一緒。
フィレンツェからシエーナへと渡ったおかげで、それがよりはっきり感じられたと思う。
シエーナ。かつてフィレンツェとトスカーナの覇権を争った古都だ。
国鉄の鈍行でフィレンツェから1時間半。
市街地の真新しい駅を出て、世界遺産に登録されている旧市街へ路線バスで向かった。
城壁に囲まれた旧市街があるのは、田園風景の中の、丘の上。
4~5階建ての古い屋並みに挟まれた石畳の通りや路地が巡っていて、
その中心に「世界一美しい広場」と称賛される広大な「カンポ広場」がある。
ホタテ貝を思わせる扇形で、曲線部分から中心に向かって緩やかな下り坂。
地元の人や観光客が座り込んで、横になって過ごしている。
寛ぐのは人間だけではなく、噴水ではハトがかわるがわる、上手に水を飲んでいた。

カンポ広場の楽しみ方。これはもう寝そべるに限る。
欧州の街には必ず広場があるが、寝そべってもいい雰囲気なのは、
まだこことパリのポンピトゥー・センター前しか見たことがない。
そういえば両方の広場とも、緩やかな傾斜が付けられているのは共通している。
強烈な日差しに目も開けられないまま、他の観光客に混じって焼けた石畳を覆った。

シエーナにも、もちろんドゥオモがある。
中世の高層建築が最小限の道幅で向きあう、
まるで峡谷のような旧市街の路地を抜けると、急に視界が開け、広大な広場に出る。
ドゥオモはそこに鎮座している。このダイナミズムは、フィレンツェの街と同じ演出だ。
白と深い緑の大理石を、レゴブロックのように交互に積み上げたボーダー柄の外観。
その巨大さ、壮麗さはフィレンツェにもひけをとらず、
怖いくらいに晴れた青空を背景にそそり立つ様子は、一瞬怯むほどの存在感だ。

このボーダー柄のデザイン、実はむしろ内部の方が徹底されている。
だから外観に圧倒されてから中に入ると、それ以上の驚きが待っている。
何かとフィレンツェと比較してしまうのだが、観光客ふぜいの視点で
フィレンツェにひけを取らないと思ったのを、撤回しなければならない。
たしかフィレンツェのドゥオモの内装は、外観ほど華やかではなかったはずだ。
街の象徴たる建築物だけに、そこに美意識の違いを見るようで面白い。

もうひとつ、シエーナの半日観光でやっておかなければいけないこと。
カンポ広場ぞいに建つ「マンジャの塔」に登り、街全体を見渡すことだ。
この塔、高さ102m。あれだけ大きなドゥオモをも凌ぐ、中世の超高層ビルだ。
安全のため、一度に登れる人数と頂上に滞在できる時間がきっちり決められている。
しばらく登り口の行列に並び、レンガの隙間から風が吹き込むスリルを味わいながら登り、
シエーナの街、そしてトスカーナの田園地帯の美しい風景を手に入れた。

同じ中世の佇まいでも、街の趣は、目の覚めるような華やかさのフィレンツェとは異なり、
トスカーナの大地を思わせるような、落ち着いた色調に統一されている。
覇を競ったふたつの「国」の景色がかくも好対照なのは、本当に興味深い。
しかしこの旧市街にも、これまでに訪ねてきた他の街々と同じように、
建国のアニバーサリーを祝う三色の国旗が、これでもかとばかりにはためいていた。
今は街でもかつては都市国家だったのだから、互いの景観が似ていないのは自然だ。
そして統一から150年と、知ってみればイタリアという国はまだ新しい。
でも各地域の人々が気持ちを同じくし、
ひとつの旗の下に母国を讃える様子は、見ていてとても清々しい。
街ごと、見える景色は様々。でも旗の色はどこでも一緒。
フィレンツェからシエーナへと渡ったおかげで、それがよりはっきり感じられたと思う。


































